セットバックとは?建ぺい率の計算はどうなるの?
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セットバックとは?
土地探しをしているとき、要セットバックという文字を目にしたことはありませんか?
セットバックとは、建築基準法という法律に適合するために必要な道路後退のことです。
文字だけだと少し分かりにくいので簡単に解説すると、セットバックとは
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と地方自治体に対して、土地の一部を明け渡す必要があることです。
セットバックの有無は契約前に必ず説明されますが、しっかりと理解しておかないと
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となりかねません。
そこで今回は、なぜセットバックが必要なのかと建ぺい率との関係性について解説します。
土地探しをしている方は必見です。
建ぺい率について知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
関連コラムセットバックの基本的な考え方
セットバックの大まかな概要が理解できたら、次に気になるのはなぜセットバックをする必要があるのかですよね。
先ほども少し記述しましたが、セットバックは建築基準法に適合するために行います。
この建築基準法とは、建物を建てる際の敷地、構造、設備、用途に関する最低基準を定めた法律のことです。
セットバックに関わるのは、建物の接道義務の部分で「(原則)道路幅員4m以上の道路に2m以上接していなければ建物を建ててはいけない」という決まりがあります。
この説明を聞くと、
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と感じる人もいるかと思います。
確かに、普段の生活で特別困ることはないかもしれません。
しかし、緊急時にはどうでしょう。
例えば、幅員が2mの住宅街で災害が発生したら、
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など、こんな事態が多発することが想定されます。
そのため、緊急時に迅速な対応ができるような道路に接道するよう定められたと言われています。
このほかにも、
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こんなことを思う人もいるかもしれません。
これは、建築基準法が定められる前から存在する建物で、未だ建て替えを行っていない地域で見かける光景です。
接道義務については法律で定められてはいるものの、実際は全ての建物が適用しているわけではありません。
なぜなら法律ができる前から存在する建物を取り壊して全建物に接道義務を守らせる、なんてことはできないからです。
そのため、そういった建物は建て替えの際に接道基準を満たすように決められています。
セットバックは義務なの?しないとどうなる?
では、もしセットバックを行わなかったことによる罰則や処分はあるのでしょうか。
結論から言うと、セットバックは義務ではありません。
しかし、もし要セットバックを無視して建築計画を進めると
・建築確認申請の許可がおりない
・住宅ローンが通らない
などといった事態が発生することが予想されます。
そのため、セットバックをしないことは現実的ではないでしょう。
セットバック面積の算出方法
なぜセットバックが必要なのかが分かったら、次に気になるのはどれくらいの面積を後退しなければいけないかですよね。
一言で要セットバックといっても、必要な面積は土地によって様々です。
ここからは、セットバック面積の求め方をご紹介します。
不足幅員を求める
まずは、不足幅員を求めるところから始めましょう。
おさらいですが、建物は幅員4m以上の道路に2m以上接道していなければいけません。
そのため、4mから現況の幅員を引くと、あと何m分道路幅員が足りないのかが求められます。
例えば、現況幅員が2mの場合は
あと2m分道路幅員を広げなければいけません。
この不足幅員をもとに、
①道路の両側がセットバックする場合
②道路の片側だけがセットバックする場合
の2パターンに分けてセットバック面積を求めていきましょう。
①両側がセットバックする場合
まずは、道路を挟んで両側の建物が未セットバックの場合です。
両側の建物はどちらも未セットバックなので、お互いにセットバックする幅は同じになります。
そのため、これを計算すると
2m÷2=1m
という結果になり、お互いに1mずつセットバックする必要があると分かります。
そして、肝心の面積は接道によって異なります。
例えば、道路に10m接道している場合であれば、
10m×1m=10㎡
が道路となる部分として算出できます。
②片側がセットバック済・セットバック不可の場合
道路を挟んで向かい側がセットバック済であったり、向かい側が川や崖など物理的にセットバック不可能な場合は、後退できる土地に全ての負担が行きます。
そのため、両側が未セットバックであれば1mで済んだ負担幅員が2mになります。
そして、面積は道路に10m接道している場合であれば、
10m×2m=20㎡
が道路となる部分として求められます。
片側だけが要セットバックの場合、他と比較してセットバック面積の負担が大きくなるので注意しましょう。
詳しくは市にお問い合わせを
基本的に建物を建てるための土地は、接道している道路の中心線から2m離れた場所を境界としなければいけません。
そのため、現況が道路の中心線から2m未満しか離れていない状態であれば不足分後退する必要があります。
ただし、目に見えている道路の真ん中が中心線とは限りません。
なぜなら、片側だけがセットバック済などのケースが存在するからです。
そのため、確実にセットバックの有無と負担割合を知るには、個別の調査が必要になります。
売り出し中の土地であれば不動産会社が調査して、物件詳細や備考欄に記載がありますが、自分でも調査を行いたい場合には、市の建築課や建築指導課等に問い合わせてみましょう。
要セットバック物件と建ぺい率の関係性
ここからは、要セットバックによる建築への影響を見ていきましょう。
建物を建てる時、土地の面積と同様に重要なのが建ぺい率と容積率という決まりです。
セットバックによってどれくらい影響が出るのか、例を使って実際に計算してみます。
建ぺい率と容積率について知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
関連コラム
100㎡の土地に建ぺい率60%で家を建てる
例えば、土地面積100㎡・建ぺい率60%で家を建てるとき、セットバックがなければ
100㎡×60%=60㎡
建物面積60㎡の家を建てることが可能です。
一方で、要セットバックの場合は、セットバック後の小さくなった土地面積で建物面積を計算をします。
セットバック部分が道路になることを考えると、建築可能な面積に入らないのは納得できるかと思います。
この場合の建物面積の求め方は、まずセットバック面積を計算して、
【セットバック面積】
1m×10m=10㎡
その後、建築可能な建物面積を計算します。
【建築可能な建物面積】
(100㎡-10㎡)×60%=54㎡
すると、セットバックありの場合は建物面積54㎡の家が建てられると算出できます。
セットバックなしのときと比較すると、最大建築面積は6㎡(約1.8坪)小さいです。
どれくらい建築可能な面積が減少するかはセットバック幅によるので、事前にどれくらいの道路後退があるのか確認しておきましょう。
セットバックは悪いことだけじゃない
今回は、要セットバックの概要と建ぺい率との関係性について紹介しました。
購入した土地の一部が道路になることに対して、抵抗がある人もいるかもしれませんが、セットバックは決して悪いことだけではありません。
万が一の事が起きたときに、自分や近隣住民の方の安全を守るために行うと考えれば、納得ができるのではないでしょうか。
もし要セットバックの土地を検討しているようであれば、事前にどれくらいの土地が道路になるのか必ず確認してみてください。
決まりを正しく理解して、素敵なマイホームを手に入れましょう。